投稿日:2008-04-30 Wed
ポテンシャル85点の総評60点くらい、という感じです。プレイすると、 「まぁまぁ良作」としつつも、なにか引っかかりを感じる、何か一言言っておきたいという感想になるのではないでしょうか?エロゲというのは、一人称が基本ですが、プレイヤーが「神の視点」を持っており、どうしてもそれが「等身大」のキャラを描くことの妨げになっていました。このゲームは、その「神の視点」抜きに作品を描写する。つまり「完全一人称」で作品を描く、という珍しい試みに挑戦した作品です。
そのために「クロスビジョンシステム」というものを導入しています。これは登場人物の視点を切り替えながら作品を読み進めていく、というものです。すべては「●●」シナリオのためなのですが、あ〜なるほど、これがやりたかったのね、がわかると「がんばったんだなぁ」とは思います。
ただ、残念ながら、「叙述トリックを用いて神の視点を持つプレイヤーをだます」という試みに成功した「Infinityシリーズ」という作品群と違い、本作の試みは、残念ながらゲームの面白さに全く生かされていないんですね。結果として、「クロスビジョンシステム」がこのゲームの魅力を大幅に殺している。
主なマイナス点は3つ。
(1)めんどうくさい
まず視点切り替えが頻繁に必要になるため、そこで作品のテンポを落としています。やってみればわかります。かなりめんどうくさいです。しかも、どうしてもシーンがとびとびになってしまうため、感情移入の妨げになります。
(2)ゲームの「ウリ」の部分である「異能力者バトルの魅力」を大きく損なっている
次に、登場人物視点での物語描写の限界がありました。どうしても客観描写がないと、「観測者が見えない部分」を描けない。つまり「スゴみ」を伝えることができないんですね。バトルシーンは演出の派手さに比べて、テキストが最低でした。
(3)敵キャラの魅力の掘り下げが全くできない。これが最も致命的。
「視点を与えられたキャラ」は主人公視点だけでなく、複数の人間の視点から描写を受け、大変魅力的に描かれます。しかし一方で 「視点を与えられなかった」敵キャラクターなどは、第三者視点からの背景や心情について語ってもらえないのです。そのため、非常に魅力が薄くなってしまっています。「ウルスラ」や「アワリティア」や「リーゼロッテ」あたりのキャラクターは、本来ならもっと魅力的に描けたはずだったのに、変なシステムのせいで「わけのわからないキャラ」で終わってしまっています。そのため、終盤でのかれらの対決が全くと言ってよいほど盛り上がらない。
このあたり「fate」と比べると、その魅力の差は歴然としています。シナリオはラスト以外結構魅力的なのですが、作品の魅力のおよそ4割がシステムによって殺された、不憫な作品であるといえます。
しかし、そういった不満を吹き飛ばすくらい1つだけ飛び抜けていい要素がありました。
上で書いたように、「視点を与えられたキャラ」は魅力的に描くことができるのです。その中でも1人、ずば抜けて魅力的なキャラがいました。
それが「草壁美鈴」
おそらく2008年トップヒロイン確定。
私は「師弟関係を乗り越えて」というものが最萌えだと思ってます。
ハッキリ言って、ツンデレとか目じゃないです。
このその点で、彼女はパーフェクトに近い「師匠キャラ」でした。
彼女から主人公が剣術指南を受ける部分は、
自分の中ではこの作品でもっとも魅力的なパート。
この部分やるためだけでも、購入する価値はあると思う。
[補足]
このゲーム、悪いゲームかというとそうでもありません。
正直、自分で補完して楽しめないわけではないし、深く考えなければいいゲームと言えなくもない。感情はそれを強く否定しますが。とにかく、「良さ」をうまく引き出せなかったシステムの罪は重め。
ぶっちゃけ、ミスリーディングにこだわりすぎ。そこがこの話の本質じゃねーだろ、と
おかげで「ゆか」がすごくかわいそうなことに。どう考えても「キーキャラクター」のように配置されておきながら、実際は「ミスリーディング用のキャラ」というオチ。おかげで、役目を果たした瞬間「北都出盤斬」発動。なんの見せ場もなく、ただのイタいキャラとして終了。
私は巷でものすごく評価が高い「車輪の国 向日葵の少女」の評価も低め(ポテンシャル80点、水増しで15点という感じ。でも個人的にはマイナス20点に、若本のプラス10で70点)なのですが、作者の自己満足の為に、プレイ快感を阻害したり、テーマ部分を薄めて平気な顔をしているゲームは嫌いなんですよ。小説なら許せるけれど、ゲームでそれをやっちゃいけないだろ、と。
中途半端に小説家を気取りな人ほど、そういう「ゲームとしての楽しさ」を軽んじている。で、それにGoサインが出てしまう。おそらくシナリオライターの権力が高いか、製作総指揮の人の感覚がちょっと甘いか、あるいは納期の関係で詰め切れていないか、いろいろあるんでしょうが、なんとかしてほしい。
それでいて、ラノベや小説家に転向する人は、ゲームとしての楽しさを十分に考慮してシナリオ作れている人なんだよね。このあたりスゴく興味深いです。誰か議論してくれないかな。
11eyes-罪と罰と贖いの少女- 出版社/メーカー: Lass 発売日: 2008/04/25 メディア: DVD マルチエンディングADVという形式に対する高い批評性をかねそなえ、ループゲーの傑作*1との声も名高い『3days -満ちてゆく刻の彼方で-』の路線を引き継ぐ、Lassの第4作『11eyes -罪と 2008-09-16 Tue 12:47:03 | 羊肉うまうま
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